イベント開催とコンプライアンス(警備業法・労働者派遣法)< お客様向けコラム
さて、そんな中久々にブログを書きました。
今回は「イベント開催とコンプライアンス」についてまとめてみました。様々な法規制が絡んでくるイベント開催において、大規模イベントの開催をする主催者様、代理店様、イベント制作会社様が私共のようなイベント運営業者の選定に関わる法規制が意外と守られてないので、ここで警鐘と共にブログでまとめさせていただきました。イベントに携わるみなさまのお仕事の参考になれば幸いです。
主に以下のことについてまとめました。
警備業認定、労働者派遣業認可、有料職業紹介業認可
あなたの使っているイベント運営業者は認可を受けて適正に業務をしていますか?
警備業法とイベント
・警備業とは
・再委託
・警備員のいない警備会社
労働者派遣法とイベント
・偽装請負(請負と派遣)
・派遣業者の認可要件
・派遣と有料職業紹介と紹介予定派遣
警備業認定、労働者派遣業認可、有料職業紹介業認可
「あなたの使っているイベント運営業者は認可を受けて適正に業務をしていますか?」
と問われたら、
「それはあたり前だろう?」
とお答えになるかもしれません。
または
「業者が違法なら取り締まるだろ?」
とお答えになるかもしれません。
イベント運営業は参入障壁の低さと専門業として認識の低さから必要な許認可を受けずに営業している会社が少なくありません。むしろかなり多いと思われます。
ただ、現在のところ重大な法令違反として検挙する例もほとんどないのも事実です。
しかしながら、厳密に法を遵守するならば、最低限、警備業認定、労働者派遣業認可このふたつの認可を受けていないと適正ではない可能性がありますので、ご注意ください。
許認可を受けていなくても、業務内容によっては違法にならない場合もありますが、私の経験上かなりグレーですので、許認可を受けた業者をお使いになった方がベターだと思います。
ではどのような場合に適正ではない可能性があるかをそれぞれの法律に基づき解説します。
警備業法とイベント
■警備業とは
警備業とは法律でこのように定義されています。
「他人の需要に応じ、身体、生命、財産を守る」
身体、生命、財産を守ることを他人の需要に応じ業として行うことを警備業と警備業法第二条に業種4区分とともに定義されています。 つまりお客様(ユーザー)より代金をいただき、身体、生命、財産を守る(警戒、未然に損なわれないよう防止する)ことを言います。
大規模イベントでは安全管理は当たり前の話ですよね。 その安全管理を委託した場合、警備業務に該当する場合がほとんどです。 警備業社でない業者が安全管理を受託することはできません。
■再委託
イベントの場合、運営を請負った会社が警備業者ではない場合は専門業社に委託することになります。専門業者でも人材不足で一部を他の協力会社に委託することがあります。 それを再委託と言います。
イベント業界ではエンドユーザー(主催者)から代理店へトータルで委託し、制作会社(プロダクション)や二次受け三次受けなど最終的に運営会社や人材会社や警備会社に発注となるケースが多いかと思います。 その場合は間に入るすべての会社が警備業認定を受けた警備会社である必要があります。つまり警備業社でないと警備業の再委託はできないとされています。
これは警備業法の解釈で、警察庁通達によりそう解釈されるとしたことによるものです。 この通達がなされ厳密に運用されるようになったのは2000年7月21日に明石市大蔵海岸で行われた明石市民夏まつり花火大会にて群衆雪崩が発生し、死者11名重軽傷者247名を出す事故の教訓でそのようになりました。 それ以来、警備員のいない警備会社があるのです。つまり再委託専門です。
大手代理店様のほとんども認定だけ受けて、実施は専門会社へ発注というケースがほとんどです。
まずはイベント運営や安全管理を発注する先が警備業認定を受けているかご確認をおすすめします。 専門業社に再委託しますという答えでは不十分で、再委託先全てが警備業認定業社である必要があります。そうでない場合、万一事故の場合に警備業としての責任が取れません。
■警備員教育と警備員のいない警備会社
警備業社は自社で警備員を採用し、教育し、そして業務にあたらせます。人材派遣会社から派遣の人間に制服を着せて現場に行かせるということはできません。警備業社の警備員は法令で定められた時間、内容の教育をしてからでないと業務に従事されることはできません。 前述のような再委託専門の認定業社はいわゆる警備員のいない警備会社として、イベント関連業者に多く存在します。 当社も2005年より警備業認定を受け、2016年頃までは警備員のいない警備会社として、協力会社とともに実施していました。現在は自社の警備員もかかえて自社実施しております。これによりお客様のニーズを的確に現場に反映できるようになったと感じています。
■警備業認定を受けるには
警備業の認定を受けるには以下の要件があります。
まずは「警備員指導教育責任者」の選任です。これは実務経験者が取得できる資格です。資格者が社内にいない場合は警備会社や所轄の警察署などに相談してみてください。
次に警備業法にある欠格自由に該当しないことの証明をして申請の必要があります。
詳細については所轄警察署の生活安全課警備業担当へお問い合わせください。
警備業法抜粋
第二章 警備業の認定等
(警備業の要件)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
三 最近五年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
九 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第一項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第二十二条第一項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
十 法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの
十一 第四号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者 (認定) 第四条 警備業を営もうとする者は、前条各号のいずれにも該当しないことについて、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の認定を受けなければならない。
(認定手続及び認定証)
第五条 前条の認定を受けようとする者は、その主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した認定申請書を提出しなければならない。この場合において、当該認定申請書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 主たる営業所その他の営業所の名称、所在地及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分
三 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、選任する警備員指導教育責任者の氏名及び住所
四 法人にあつては、その役員の氏名及び住所 2 公安委員会は、認定申請書を提出した者が第三条各号のいずれにも該当しないと認定したときは、その者に対し、その旨を通知するとともに、速やかに認定証を交付しなければならない。 3 公安委員会は、認定申請書を提出した者が第三条各号のいずれかに該当すると認めたときは、内閣府令で定めるところにより、その者に対し、その旨を通知しなければならない。 4 認定証の有効期間(第七条第二項の規定により認定証の有効期間が更新された場合にあつては、当該更新された認定証の有効期間。以下同じ。)は、認定を受けた日(認定証の有効期間が更新された場合にあつては、更新前の認定証の有効期間が満了した日の翌日)から起算して五年とする。 5 認定証の交付を受けた者は、当該認定証を亡失し、又は当該認定証が滅失したときは、速やかにその旨を当該公安委員会に届け出て、認定証の再交付を受けなければならない。
(認定証の掲示義務)
第六条 警備業者は、認定証をその主たる営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。
このように、再委託するにも認定が必要で、認定にはそれなりの要件と官庁から監督される業者となります。イベント運営は警備ではないという解釈は事故があった場合に通うじません。事故を未然に防ぐためにも警備業認定を受けたイベント運営会社のご利用をおすすめします。
労働者派遣法とイベント
あなたの使っているイベント運営業者は派遣業認可を受けて適正に業務をしていますか?」 と問われたら、 「派遣の依頼をしていない。請負だ。」 とお答えになるかもしれません。 はたして、その業務は請負業でしょうか?5年ほど前に細かく労働局に確認した経験がありますので、その時の状況を基にお話しします。法解釈ですから、担当官によっても解釈がことなったり、時期によっても違うかもしれません。その時点の労働局の方の見解を私が理解した内容として、あくまでも参考にとしてください。
■偽装請負(請負と派遣)
派遣と請負の厳密な違いをご存知でしょうか?
その見分けかたはずばり「指揮命令」です。
イベントには様々な役割のスタッフが現場にいます。所属も様々です。所属も様々ということは給料をもらう雇用者も様々だと思います。
例えば、スタッフAがいたとします。
スタッフAは運営会社Aから給料をもらいます。
それでは現場でスタッフAに命令をするのは誰でしょうか?
運営会社Aの人であれば請負です。
運営会社Aの人でなければそれは派遣です。
それは理解できる方も多いかと思います。
それでは運営会社Aの人は誰かから現場で指揮命令を受けますか?
もし、別の会社の現場総責任者から指揮命令を受けるとすればやはり派遣となります。
請負は現場で突発的にあれをやってこれをやってと指示を受けることは日常茶飯事かと思います。
しかし、事前に取り決めた内容以外の業務を行うと、それは派遣となります。
よくある説明の図が下記です。
現場で見分ける基準のひとつとして、請負ならば請負会社名の名札をしてあらかじめ決められた仕事だけをすべきで、イベント全体のスタッフ証でなんでもやるは派遣に該当する可能性があるとのことでした。弊社の請負現場では弊社の名札をして事前に決められた仕事だけをしている現場もあります。
■派遣業者の認可要件
派遣業の認可には以下の要件があり、小規模会社にはかなりハードルが高くなっています。 まず、派遣元責任者を選任すること。派遣元責任者は1日講習をうければ取得できます。
次に、会社の要件が下記のようになります。
資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下 「基準資産額」という。)が2,000万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う(こと を予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。 事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に当該事業主が労働者派 遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
事業所について、事業に使用し得る面積がおおむね20m2以上あるほか、その位置、設備 等からみて、労働者派遣事業を行うのに適切であること。 ・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当すること。
a 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)で規制 する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にな いこと。
b 労働者派遣事業に使用し得る面積がおおむね20m2以上あること。
ある程度の事務所の広さと誰にも会わずに面談できる個室を備え、純資産が2,000万円以上ないとダメですよという感じです。詳細は管轄の労働局にお問い合わせください。
■派遣と有料職業紹介と紹介予定派遣
労働者派遣業とともに有料職業紹介業の認可を受けた業者のみ、紹介予定派遣という形態の営業ができます。紹介予定派遣は派遣先に無期雇用されることを前提に、一定期間派遣され、その後派遣先に直接雇用となり、派遣先は派遣元に手数料を払うというものです。 当社も営業許可を受けており、派遣スタッフを直接雇用したいというニーズに積極的にお答えしています。
このように、イベント運営業には様々な事業許可を受ける必要があり、それぞれ適正に業務を行う必要があります。イベントの主催者や代理店様、制作会社様は今一度お使いの業者がどういう業者なのか確認されることをお勧めします。
当社では万一の事故やトラブルに備えて、大型の保険にも加入しております。 株式会社ケーズクルーはコンプライアンスと安全安心でみなさまのイベントを支えます!
株式会社ケーズクルー
代表取締役 須田和宏
東京都新宿区四谷三栄町12-5ライラック三栄ビル4階
東京都公安委員会認定警備業30003108号
労働者派遣業 派13-309327
有料職業紹介業 13-ユ-309203
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